損保ジャパンは10月から、日用品を対象とした生産物回収費用保険「日用品リコール・プラス」と「個人情報取扱事業者保険」の2商品に、リコール事故などが発生した際の製品の回収やメディア対応などを支援する「緊急時サポート総合サービス」を導入した。
各専門分野の企業と連携して事態の収束を目指すもので、経済活動をめぐるリスクが拡大する中、中小企業の危機対応をバックアップする新サービスに注目が集まりそうだ。
日用品リコール・プラスは、被保険者が製造・加工・販売した化粧品や衣服、家具など日用製品の瑕疵(かし)に起因したリコールを行う場合に掛かる回収費用や回収製品と引き換えに返還する対価、広告宣伝費用、逸失利益、コンサルティング費用、在庫廃棄費用などを補償する。売上高100億円以下の中小企業が対象となる。
今回、自動付帯された緊急時サポート総合サービスでは、被保険者が事故の発覚などを損保ジャパンに報告すると、損保ジャパン日本興亜リスクマネジメントがリコール体制全体をコーディネート。必要に応じてコールセンター機能(㈱ベルシステム24)、緊急時広報機能(㈱プラップジャパン)、物流回収機能(ヤマトマルチメンテナンスソリューションズ㈱)などに関して、それぞれの専門企業と連携しながらサポートする。サービス料金は損保ジャパンから支払われる保険金を充当することもできる。
一方、個人情報取扱事業者保険は、個人情報の漏えいなどで第3者から損害賠償請求されたことによる法律上の損害賠償金や弁護士費用などの訴訟費用をカバーするとともに、企業ブランド価値の棄損を防止・縮減するための費用(ブランドプロテクト費用)や企業情報の漏えいに対する損害賠償金なども補償する。同保険の緊急時サポート総合サービスでは、事故の原因究明や影響範囲調査、被害拡大防止を支援する機能(㈱ラック)と、再発防止策の評価証明書を発行する信頼回復支援機能(㈱アイ・エス・レーティング)などがある。2014年9月に合併を予定している日本興亜損保でも同サービスを導入している。
損保ジャパンでは「昨今、日用品のリコール事故がたびたび発生しているが、メーカーや販売事業者の数に比べてまだまだリコール保険は浸透しておらず、伸び代は大きいとみている。また、個人情報取扱事業者保険もマイナンバー制の導入やクラウドを活用したビジネスの伸展など、今後、個人情報を取り扱う機会の増加が予想されることから、中小企業の皆さまにはそうしたリスクにぜひ備えていただきたい」として今後の契約規模の拡大に意欲を見せている。