後遺障害保険金の支払い区分、分かりやすく政府労災に準拠

  損保各社は10月1日始期の契約から、傷害保険の料率改定や商品改定を実施しており、特に後遺障害保険金を政府労災準拠とする動きが広がっている。

 

 これまでは、ほとんどが独自の「支払区分表」を用いて保険金を算出しており、同じけがでも保険会社によって保険金額が異なる事例が多く発生し、複数の保険会社に契約している顧客から「理解しにくい」という声があったという。今後は、こうした点が解消され分かりやすくなる。

 今回の傷害保険の料率改定は同保険の損害率の悪化を受けて実施された。損害保険料率算出機構が、後遺障害被害者の増加や一人当たりの平均通院日数の長期化などを背景に、傷害保険の参考純率(注)を全体で15.0%引き上げたことが要因だ。

 

 同機構の統計資料によると、後遺障害被害者は08年ごろから大幅に増加。具体的には、06年1万1389人、07年2万703人、08年3万650人、09年3万3355人、2010年3万4305人となっている。「加齢による転倒・骨折のリスクが高まっている」とする専門家の見方もある。

 

 保険会社では今後の高齢化の進行も視野に、より分かりやすいサービスの提供を目指しており、今回の政府労災準拠に変更する方針については例えば、東京海上日動、損保ジャパン、三井住友海上、日本興亜損保、au損保、チューリッヒ、大同火災などが契約者向けに方針を公表している。

 

 具体的には、東京海上日動では「後遺障害保険金の支払区分表を政府労災の障害等級表に準拠したものに見直す」、三井住友海上では「傷害保険独自の『支払い区分表』から、政府労災に準拠した『後遺障害等級表』に基づいた支払方法に変更する」と説明している。

 

 後遺障害保険金の会社独自の支払い区分表では、体全体を100%として、けがの部位と傷害の状況で填補率を示しているが、填補率は各社で異なる。例えば、腕、指、脚などを同時に負傷したときは部位や症状の組み合わせが複雑になり、等級の計算がより難しくなる。

 

 政府労災の障害等級は、労働者災害補償保険法や施行令、施行規則などによって規定されており、準拠する会社が増加すれば、顧客の混乱が減り安心感も高まると言える。

 

 今回の参考純率の改定率は、普通傷害・家族傷害保険でプラス17.4%、交通事故傷害・ファミリー交通傷害保険でマイナス1.3%、国内旅行傷害保険でプラス20.7%、海外旅行傷害保険でプラス8.8%(全体で15.0%)となっているが、それに応じて各社では、商品と料金の改定を実施している。

 

 (注)損害保険の保険料率は、純保険料と付加保険料からなっているが、損害保険料率算出機構で算出する自動車保険・火災保険・傷害保険・介護費用保険の純保険料率を参考純率という。

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