金融庁、「金融モニタリング基本方針」公表

 金融庁は9月6日、「金融モニタリング基本方針」を公表した。現在の金融行政上の課題を踏まえ、検査局と監督局が協働し、金融機関、金融システムについて深度ある実態把握を行うこととし、従来の「検査基本方針」に替え、両局が協働して行うオンサイト・オフサイトのモニタリングに関して取りまとめたもの。

 

 保険会社モニタリングでは、大手生損保会社について、少子高齢化の進展、自然災害の多発、募集形態の多様化などを踏まえ、生保市場の将来性を踏まえた経営の在り方や、海外展開といった重要課題に水平的レビューを実施する。

 

 今回、公表された「金融モニタリング基本方針」では金融検査の見直しの方向性として、①金融機関・金融市場で起こっていることをリアルタイムで実態把握し、潜在的なリスクに対応する②重要なテーマについて業界横断的な実態の把握・分析、課題の抽出、改善策の検討を行い、行政対応につなげる③大手金融機関などについては、より優れた業務運営(ベストプラクティス)に近づく観点からのモニタリングを実施する―ことを挙げている。

 

 保険会社に対しては、金融庁が保有する既存の経営情報などに基づき、個々の保険会社のリスクの所在などについて事前に情報を分析した上で、必要と認められる検証項目に関して通常検査を含めたオンサイト・オフサイトの手法を効率的に組み合わせた金融モニタリングを実施していく。

 

 大手生損保会社などについては、SIFIs(金融システム上、重要な金融機関)と同様、オンサイト・オフサイト一体となったモニタリングチームを編成し、業界横断的な検証項目に関しては、ベスト・プラクティス(最良慣行)を念頭に置き、マクロプルーデンス(金融システム全体の健全性)の観点も含めた水平的レビューを行う。
 主な検証項目は、▽経営管理(ガバナンス)▽法令等順守▽募集管理および顧客保護など▽統合的リスク管理および資産運用▽ITガバナンス(ITシステムリスク)の統制。

 

 経営管理では、高齢化を含む人口動態、国内市場の成熟化、企業の海外進出の進展などを踏まえたグループの中長期的経営戦略、経営課題についての経営陣の認識のほか、経営管理態勢、グループ管理、内部監査などを検証する。また、生保会社については、少子高齢化の進展や募集形態の多様化を踏まえた中長期的な事業戦略、商品開発態勢、海外戦略、収益管理、損保会社については、自動車保険市場の縮小や大規模自然災害の多発といった環境を踏まえた海外戦略など中長期的な事業戦略、商品開発態勢、収益管理などを検証項目としている。

 

 法令等順守では、保険約款への暴排条項導入に伴う反社データベースの整備などの反社会的勢力への対応や、インサイダー取引防止態勢の整備状況などを検証。募集管理および顧客保護については、顧客ニーズに対応するための代理店の質的向上に向けた取り組みや、乗合代理店・銀行窓販・クロスセルなどの特性を踏まえた代理店管理態勢の実態、代理店手数料体系、代理店管理部門の業務効率化と業務品質確保の状況のほか、高齢者等対応、保険金等支払い、顧客情報管理態勢などを検証する方針。

 

 統合的リスク管理および資産運用では、グループのERM(エンタープライズ・リスク・マネジメント)態勢の構築状況や、ソルベンシー評価目的の内部モデル整備状況、集積リスク管理態勢(出再先の態勢確認を含む)、負債特性に応じた資産ポートフォリオ構築(地域・通貨・商品などの分散状況を含む)などを検証項目に挙げている。

 

 ITガバナンスに関しては、IT戦略のほか、システムインフラ整備への経営陣・リスク管理部門・法務部門・内部監査部門などの関与、外部委託管理などを検証する。

 

 金融庁では、「本事務年度にオンサイト・オフサイトが一体となった金融モニタリング手法を新たに試行する過程で、金融検査の運用の基本的考え方および実施手続きを定めた「金融検査に関する基本指針」や、検査官が金融機関を検査する際の手引書である「金融検査マニュアル」などについても必要な改正を検討・実施していく」考え。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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